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展覧会

天理ギャラリー展  

芭蕉の根源-北村季吟生誕四百年によせて-

天理ギャラリー展
第181回展
  • 会期:2024年5月12日〜6月9日
  • 時間:午前9時30分~午後5時30分
  • 会場:天理ギャラリー(東京天理ビル9F)
  • 担当:図書館

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展覧会情報  ご挨拶  見どころ  出品目録 

 

会期 :2024年5月12日(日)~6月9日(日) ※会期中無休
時間 :9:30〜17:30(入場は17:00まで)
入場料:600円(高校生以下無料)
会場 :天理ギャラリー
    (〒101-0054 東京都千代田区神田錦町1-9 東京天理ビル9階)

 

今年、生誕400年を迎える北村季吟。

江戸時代前期を生きた季吟は、源氏物語の『湖月鈔』、枕草子の『春曙抄』など、古典の注釈書を多く著しました。それらが広く、そして明治時代にいたるまで長く読み継がれてきたことで知られている人物です。彼は医を修め、俳諧師としても一門をなし、晩年には江戸幕府の初代歌学方にも就いた、まことに多才なひとかどの文化人でもありました。

そして、その俳諧の一門のなかに松尾芭蕉がいます。

古典や和歌を通じた人格錬磨を俳諧師にも求めた季吟。その門から出でて風雅を追求し、師風を離れて独自の世界を築いた芭蕉。

本展覧会では、季吟と芭蕉の自筆資料を中心に展示し、この師弟の人生を辿ります。

前史 ―門弟としての季吟―

北村季吟は近江国野洲郡北村を本国とする医師の家系に生まれた。季吟は長じた後、安原貞室の門弟を経て、貞門誹諧の祖・松永貞徳の直門として京にて誹諧に精励する。

柿本講式 上巻 季吟筆
柿本講式 下巻 貞徳筆

『柿本講式』は、歌聖・柿本人麻呂の肖像を供養する順序次第を記したもの。掲出本は、上下巻からなる貞徳筆本の、傷んだ上巻を所蔵者の求めにより季吟が補ったものである。

季吟 ―誹諧一派独立・古今伝受・古典注釈―

季吟は30歳で貞徳と死別した後、一派独立し勢力を伸ばした。36歳のときに古今伝受を相伝し、40歳前後から源氏物語の『湖月鈔』、枕草子の『春曙抄』を始めとする古典注釈書の刊行に多大な力を注ぐようになる。『源氏物語』の全文を載せる『湖月鈔』は、本文を主体に解説を施しており、明治時代に到るまで『源氏物語』の流布本(一般に普及した本)の位置を占めた。季吟の記した注釈書の中には上皇や将軍に奏覧・献上するものもあり、66歳のときには江戸に召され、幕府の初代歌学方となった。

湖月鈔 季吟著 延宝元年(1673)跋刊 60巻60冊

このような栄光の一方で、季吟を襲う悲劇もあった。彼が62歳の時に、外孫(長女の子)の乙部長則が16歳の若さで病没してしまう。長則は季吟邸で生まれた愛孫であり、季吟の悲嘆は深かった。和歌の才能のあった長則の遺した和歌を元に季吟がまとめたのが、『残雪』と呼ばれる和歌集である。

残雪 乙部長則著 北村季吟編・自筆

82歳まで長寿を保った季吟は、師はもちろんのこと、元隣や可全、松尾芭蕉など、幾人もの弟子を見送った。晩年には、後継として育て上げた湖春・正立の息子二人にも先立たれてしまう。しかし、季吟の没する一月前に著された『疏儀荘記』には身の幸いへの感謝ばかりが記され、そこに逆縁の悲しみは見えない。

疏儀荘記 季吟著 自筆

誹諧合 ―勝負と批評―

誹諧合(句合)は、句を左右に並べ、勝ち負けを示したり、評価や解釈を示す判詞を添えたりしたものである。季吟の『祇園奉納誹諧連歌合』は、誹諧合刊行の魁となった。

また、誹諧合の刊行においては、季吟を師とした芭蕉や、その一門(蕉門)のものが目立つ。『貝おほひ 三十番俳諧合』は、芭蕉が天満宮への奉納のために著したもので、はじめての出版物である。『貝おほひ』は本書のほかに刊本の現存を聞かない。

貝おほひ 芭蕉等著 芭蕉編・判 寛文十二年(1672)跋刊 

松尾芭蕉 ―鯉屋物―

芭蕉の作品は、蕉門として一大勢力となった弟子達によって伝えられた。最古参の弟子であり、後援者でもあった杉山杉風(鯉屋市兵衛)が蒐集し、杉山家が代々伝えた「鯉屋物」と呼ばれる資料群を天理図書館では所蔵している。

萩鹿図 芭蕉画
奥の細道行脚之図 許六画
出品目録

1  柿本講式 松永貞徳・北村季吟各筆
2  貞徳画像 宮川松堅画・季吟賛
3  貞徳誹諧式目歌 季吟筆
4  連歌新式追加并新式今案等 北村宗龍筆
5  山崎宗鑑影開百韻 貞室筆
6  山之井 刊本(季吟著)
7  貞徳三十三回忌勧進和歌三十首 臼井定清筆
8  寛文七年歳旦 季吟筆
9  花千句 刊本(季吟等著)
10 夢想之連歌 季吟筆
11 季吟点誹諧独吟百韻 季吟自筆点
12 六玉川 季吟等各自筆
13 季吟書簡 観音寺宛 季吟自筆
14 残雪 季吟自筆
15 嵐山石銘・盆山記 義諦・季吟各自筆
16 濠梁庵記 季吟自筆
17 吸江軒記草稿 季吟自筆
18 吸江軒記 季吟自筆
19 参宮記 季吟自筆
20 疏儀荘記 季吟自筆
21 歌誹難易文 季吟自筆
22 拾穂軒当座和歌 季吟自筆
23 誹諧用意風躰 刊本(季吟著)
24 大和物語抄 刊本(季吟著)
25 湖月鈔 刊本(季吟著)
26 源氏物語打聞 北村季任自筆
27 新勅撰和歌集口実 季吟自筆
28 続後撰和歌集口実 季吟自筆
29 古今和歌集伝受誓文 北村湖春自筆
30 北村季吟歌道伝授起請文集 元隣等各自筆
31 誹諧之事・誹諧会法 季吟自筆奥書
32 芭蕉桃青翁御正伝記 一叟自筆
33 祇園奉納誹諧連歌合 刊本(季吟判)
34 四十番俳諧合 重頼自筆
35 百五十番誹諧発句合 季吟自筆
36 百五十番誹諧発句合草稿断簡 季吟自筆
37 貝おほひ 刊本(芭蕉判)
38 田舎之句合 刊本(芭蕉判)
39 常盤屋之句合 刊本(芭蕉判)
40 続の原 刊本(湖春・芭蕉等判)
41 芭蕉画竹図 杉風画
42 萩鹿図 芭蕉画
43 奥の細道 去来筆(芭蕉著)
44 奥の細道行脚之図 許六画
45 野ざらし紀行 芭蕉自筆
46 鹿島紀行 芭蕉自筆
47 幻住庵記 芭蕉自筆
48 「みのむしの」発句画賛 英一蝶画・芭蕉賛
49 蓑虫記 素堂自筆
50 蓑虫記 蚊足筆・芭蕉自筆跋
51 両吟歌僊俳諧 芭蕉自筆点
52 枯尾華 刊本(芭蕉追善)


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