歌謡、すなわち謡われる「うた」は、和歌に代表される読む歌ー詩歌よりも発生が早くその源となったものです。詩歌が多く知識層の中で洗練されていったことに対し、「うた」は、より広い人々の実生活とつながりを持ちながら、さまざまな形で今日に至っています。
今回は天理図書館所蔵の歌謡書の内より、神楽歌から近世歌謡にいたるまでの主要なものを展示いたします。中でも梁塵秘抄に一つの重点をおきました。梁塵秘抄の伝本は稀少で、それも書写年代の新しいものがほとんどですが、秘抄、秘抄口伝集、異本口伝集等を中心に、周辺の関連資料を集めてみました。
 また、室町時代から江戸時代にかけて興隆する「小歌」は、平安朝の催馬楽、朗詠、今様などの宮廷歌謡とならんで、謡われる「うた」として典型的なものです。これも梁塵秘抄の今様と同様に、社会の大きな転換期において現れた新しい「うた」であり、階層を超えて多くの人々に受け入れられていったものです。ここにも一つ焦点をあててみました。
 こうした、各時代において様々なジャンルを形成していった歌謡の姿を、それぞれの著名な伝本によって楽しんでいただければ幸いです。
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会 期 : 平成12年11月3日(金) ~ 11月25日(土)
時 間 : 午前10時 ~ 午後6時 (土・日は~午後4時)
会 場 : 天理ギャラリー(東京天理教館9F)


出 品 書 目   ◎…重要文化財   綾…綾小路家旧蔵楽書

 1 平安朝宮廷歌謡と梁塵秘抄

神楽歌・催馬楽・朗詠

1◎神楽歌 重種本 平安末期写
2 催馬楽譜(綾) 綾小路信俊筆
3 催馬楽略譜(綾) 元文3(1738)写
4 朗詠要抄 因空筆 延慶2(1309)写
5 朗詠九十首抄(綾) 綾小路俊宗筆
6 朗詠九十首抄(綾) 江戸初期写
7 神楽催馬楽注秘抄 綾小路有俊筆 文明元(1469)写
 付 梁塵愚案抄 江戸初期写
梁塵秘抄とその周辺

8◎梁塵秘抄巻第一断簡(綾) 室町末期写
9◎梁塵秘抄巻第二 竹柏園文庫本 江戸末期写
10 梁塵秘抄口伝集 平松家本 江戸期写
11 梁塵秘抄口伝集巻第十一及催馬楽抄(綾)江戸初期写
12 [梁塵秘抄口伝集巻第十二抄](綾) 綾小路俊資筆 文政10(1827)写
 付 文化十一年御再興賀茂臨時祭御用記(綾)
13 朗詠注秘抄(綾) 室町末期写
14 宴曲譜(綾) 江戸中期写
15 宴曲譜(綾) 江戸中期写
16 五節間郢曲事(綾) 寛延3(1750)写
17 郢曲相承次第(綾) 江戸後期写
18 田歌切 伝寂蓮筆 鎌倉初期写
    付 やすらひ花の歌 江戸後期写
19 大嘗会の田歌(綾) 江戸後期写
20 声明集 高野版 南北朝頃刊
21 声明集 南北朝頃写
22 延年白拍子 江戸初期写
23 延年白拍子倭歌 江戸中期写
   付 しづか 奈良絵本 室町末期写

平家物語の今様

24 平家物語 覚一本 慶長期写
25 平家物語 八坂流本 江戸初期写
26 平家物語 竹柏園本 室町末期写
27 平家物語 長門本 江戸初期写



2 早歌・舞の本・謡本

28 宴曲抄下(綾) 室町後期写
29 舞の本 大頭本 笠屋但馬・大頭左兵衛等筆
30 舞の本 文禄本 上山宗久筆
31◎謡本集 車屋本 文禄5(1596)写
32 光悦謡本 古活字版 慶長期刊



3 小歌・組歌の展開


33 狂言六義 江戸初期写
34 鷺流狂言伝書 保教本 享保年間写
35 隆達小歌(草歌) 文禄2(1593)自筆
36 隆達小歌集 江戸初期写
37 小歌集   江戸初期写
38 豊国大明神臨時御祭礼記録 慶長9(1604)写
39 おどり 寛永頃写
40 哥舞妓(謡曲別集百番の内) 江戸中期写
   付 尾陽戯場事始 天保6(1835)写
41 新なげぶし 江戸中期刊
42 糸竹初心集 寛文4(1664)刊
   付 職人尽絵 室町末期写
43 糸竹大全 元禄12(1699)刊
   付 団扇絵づくし 天和4(1684)刊
44 松の葉 元禄16(1703)刊
45 若緑 正徳2(1712)刊
46 琴曲抄 元禄8(1695)序刊
47 吉原はやり小哥そうまくり 江戸中期刊
48 琉歌集 江戸後期写